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新薬(ピカ新)とジェネリックの共通点

今日は製薬業界について。勝手に大雑把な業界分析です。


IMSジャパン(←製薬業界のデータバンクみたいなスゴイ会社)によると08年の国内製薬市場は2.9%成長でした。

で、市場の牽引薬は新しい抗がん剤(←生活習慣病と異なり、治療薬が飽和していない領域です)だったそうで、大きな伸びを見せた抗がん剤メーカーはほぼみんな外資系だったようです。
そして、売上高成長率Meanの2.9%を超えたメーカーは9社のみで、そのうち7社が外資系だったそうな。。

こんな市場環境の中、もう1グループ、勢いのよさそうなのがジェネリックメーカーです。
今年発表された中小期計画によると、大手ジェネリックメーカーの沢井製薬の向こう4年間の売上高CAGRは18.7%(Wow!)、東和薬品は3年間で8%強、日本調剤は同8%弱、みんな内資系だけどどこも高いですね。


Q. 先発メーカーでは明らかに外資系が内資系よりも調子がいい様子ですが、なんでなんでしょう?

私が思うに、(obviousだけど)やっぱり新薬のパイプラインですな。
いわゆるピカ新(新しい作用機序の薬)じゃないと市場で勝てないよね。
で、新薬開発って莫大なお金がかかるわけで、ここで規模の経済が働く会社の方が有利にきまってます。
日本国内の外資系は、日本市場だけ(日本法人)でみると規模が小さいですが、彼らがパイプラインを共有する親会社は内資系製薬メーカーの雄、タケダをはるかにしのぐ規模なわけで。
リソースが多いほどスクリーニング品目も多いし、自社開発できなくてもお金があるから小さいベンチャーをまるっと買収できるんですよね。

そして先発品というのは特許期間という寿命があるため、先発品メーカーは継続的に新薬をlaunchしていかないと高成長率を維持できません。そしてその“新薬“は、既に飽和している治療領域の○番煎じでは勝てない(高成長率を維持できない)ので、“ピカ新”である必要があります。
これまで市場にない製品、患者さんや医療関係者が大喜びする製品でないと、寡頭競争で体力を消耗するのがオチです。お金かかるね。。。


 ピカ新: まったく新しい薬。類薬が存在しない と
 ジェネリック: 特許切れした薬のコピー
一見、正反対なんだけど、二つの大きな共通点は〝アンメットメディカルニーズ”を満たすということ。


アンメットニーズはクリティカルな商機であるというのはどのマーケティング研修でも習いますね。

医療関連業界ではこれをアンメットメディカルニーズと呼ぶことが多いですが、
これをコスト面とベネフィット面にブレークダウンすると、
  ①コスト:(性能は維持しながら)より安価な製品
  ②ベネフィット:既存の薬で達成できていない治療効果や安全性を可能にする製品(がん領域、リウマチや加齢黄斑変性など、これまで対処療法しかなかった疾患の治療薬etc.)


というわけで、
  ①を満たせるのがジェネリック医薬品メーカー、
  ②を満たせるのが外資系メーカー(パイプラインの豊富な大規模メーカー)、   
ということですかね?

by nina_anin | 2009-06-22 23:43
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Duke大学のFuqua School of Business留学日記です


by nina_anin
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